【日記からサルベージ】  
* * 兄と妹シリーズ2 * *





 [本日クリスマス慰撫?]

どういう変換だ、まあ面白いからほっとこうか。


さて、クリスマスです。どこをめくってもカップルに優しい
カップルじゃない人にはとことん優しく無いイベントです。けっ。

ムサヒルで例える所の兄と妹です。(理屈じゃないんだ、感情なんだ)
脳内ではこの設定がどんどん細かく形になってしまいまして
住んでいる所は高知(どうしよういったことねえよ)。
父は長距離トラック運転手の阿含 母は公務員の雲水。
年の差とかそんなの適当にころころ変わりますが
なんか間違えてたら教えて下さい。親切な人。


小6兄は、クリスマスイブに久しぶりの家族の団らんにうきうき。
ツタヤでヒル魔と皆で見るビデオ借て来てわくわく!

だけど、うっかりしていたそうだヒル魔は小さな時からホラー映画大好き。
目を離した好きに、雲水からは「子供が見るもんじゃないだろ」と
止められていた系のビデオをこっそりレンタルの中に紛れ込まされていた。
まあ、1本ぐらいならいいかとしっかり妹の手をつないで帰る武蔵。


久しぶりに家族が勢ぞろい。
雲水の御飯を手伝う二人。これ、俺が作ったんだぜ!と得意満面の武蔵。
これ、俺が切ったんだぞ!といびつな形の野菜を兄の茶わんに放り込む妹。

ファザコンぎみなヒル魔は阿含のひざの上。ちょっと嫉妬ぎみに眺めてる武蔵。

借りて来たビデオの中から阿含が選んだのはヒル魔と同じ物。
お前趣味がいいぞと膝の中の小さな頭をぐりぐり撫でつつビデオ鑑賞。


流れる映像の悪趣味具合に眉を潜める雲水。
普通に怖がって雲水のエプロンをぎゅうと握りしめる武蔵にちょっと苦笑い。
それを横目でチェックして少し腹立ててる大人気ない阿含。


ビデオが終わればお風呂の時間。
兄としての威厳を崩したくないけれど、背に腹は変えられない。
雲水に、こっそり耳打ち。一緒にお風呂に入ろうとお誘い。
地獄耳阿含登場、お前が雲水と一緒に風呂なんざ100年早いんだと半切れ。

首根っこひきずってずるずるとお風呂に直行。
説教と同時に湯舟に沈めかねない二人の様子にちょっとひやひやする雲水。

うっかり放っておかれたヒル魔。いつもなら阿含とお風呂。
だけど、あれれ。今日は一人だ。

二人が風呂から上がった時、その事に気がつく雲水がちょっと待ってろ
片付けたら一緒に入ろうと誘うけれど。
今日のヒル魔はちょっとだけ強気。

御飯のお手伝いも出来た。もうお風呂ぐらいだって一人で入れる!
雲水を待たずにお風呂に直行。いつまでも子供扱いするなという自己主張。


けれど、そんな気持ちがすうと簡単に萎んでしまう。


はじめて入った一人のお風呂。ここってこんなに広かったっけ?
お湯を汲んで、体を流す。曇った鏡に映るいびつな自分の形がなんだか恐い。
髪を洗っている最中、後ろが気になってぞくぞくする。

何もかも中途半端、洗い流すのもそこそこに湯舟に入る。

とたんに、静かになる浴そう。誰もいない。
自分一人。どうしてだろう、なんでこんなに恐いのだろう。
体があたたまる間も無く湯舟から飛び出てしまう。

早かったな、もう良いのか?と入れ代わりに雲水から言われてとっさに頷いてしまう。
一人が恐かったなんて言えない。少し寒いけれど、布団に入ってしまえば平気。
濡れた髪の毛を乱暴に阿含にぬぐわれながら、涙ぐんだ顔もタオルの端で軽くふく。


夜。
上の段のベットで何度も寝返りを打つヒル魔。
その都度ぎいぎい言う音が響いてなおさら恐さが倍増する二人。
寒くて、恐くて、眠れない。こんなはずじゃ無かったのに。
何度目かの寝返りの時に武蔵がそっと、ヒル魔を呼んだ。

「眠れねえのか……?」

答えないヒル魔に尚も声がかかる。

「兄ちゃんの隣で、寝るか?」

ベットから恐る恐る下を覗き込むと同じように見上げるこちらを見上げる顔。
暗闇が少し、和らいだ気がした。

返事より先に急いで毛布を下に投げる。
木の階段をできるだけ急いで降りて、もぞもぞと武蔵のベットに潜り込む。

「なんだ、すごくお前冷たいぞ?」

冷えた肩に暖かい武蔵の手が乗せられて、それだけでほっとする。
汗ばんだ武蔵の手がヒル魔の両手をあたためるように包み込む。
簡単な事だ。こうすればよかったんだ。
冷えきったつま先を武蔵の両足の間に突っ込む。

「うわっ!つめてっ!!」

あまりに冷たいそこから武蔵が笑いながら逃げる。
けれど、握った両手は離さない。
また、おずおずと足を伸ばすと今度は逃げない。
少し恥ずかしそうに顔を赤らめているのは、どうしてなのかヒル魔には分からない。

「サンタさんが来たら起こしてやるから、お前少し寝てていいぞ」

兄らしい力強い言葉。だけど、ヒル魔よりも寝付きが良い武蔵がそれ程長く起きていられるわけがない。
本当はビデオ、恐かったんだろうし。
お風呂できっと阿含に虐められたんだろうし。
満腹で本当は今にも眠りたそうな顔なのに。

自分に付き合ってくれる事がとても嬉しい。

武蔵が眠ったら。いつも言いたくて言えなかった言葉を言おう。
いつも、いつも。
ありがとう。

大好きなんだ、


こっそり言おう。
ヒル魔の両手を握る手から力が抜ける。
もうすぐ、もう少し、あとちょっとで言える。
耳にささやこうか。頬をすり寄せて言おうか。
大胆に、抱き締めてみようか。

大好き、なんだ。




誰の心もちょっとだけ素直になれる。
聖夜の力は日常を変える。


誰の元にもメリークリスマス!!


2005年12月24日(土) PM5:09




[本日は節分]
馬鹿の一つ覚えで兄弟ネタです。
兄:武蔵  妹:ヒル魔  という大変頭の悪そうな設定です。




とぼとぼと足下を見ながら武蔵は重い足取りで家へ帰る。
帰りしなに、職員室に呼ばれ、教師にやんわりと注意をされた。

ヒル魔は今日、どうしてあんなにはしゃいでいるんだ。

武蔵は6年。ヒル魔は2年。遠くに離れた教室なのに、ヒル魔の起こした騒ぎは聞こえた。
給食が終わった時にそれは始まり、昼休みが終わる頃にはちょっとした祭りのような騒ぎになった。小さな学校の生徒達は、恐らくほとんど巻き込まれていただろう。

どこに隠し持っていたのかヒル魔が持ち込んだ大量の豆。ばらばらとヒル魔がぶつけるそれを他の生徒が拾い集め、教室内から始まった豆合戦。
踏みつぶされ、砕かれる前に豆を拾おうとする子供。
熱中するあまり、それと気がつかず踏み付けてしまう子供。
避けようとして机と椅子に向って転倒する者、机の上を飛び回りはしゃぐ者
ぶつけるもの、ぶつけられる者、誰もがきゃあきゃあと奇声をあげての大騒ぎ。

中でも騒ぎの元凶となったヒル魔の動きは大層立派なものだったようで。
あらかじめ用意していた銃器を模したいくつもの玩具で豆を打ち出し、逃げる生徒達を「狙撃」したという事だ。

転んだりなんだりで怪我をした子供もいたらしいが、せいぜい擦り傷程度だったらしい。
騒ぎに火を注いだ諸悪の根源は、教師が駆け付けた時には既に逃げた後。
そうして、武蔵が呼び出されたと言う訳だ。

学校に変な物を持ち込むな、から始まって一体あいつは何を考えているのかなど。
愚痴に近いようなその説教に、焦れた武蔵は教師の臑を蹴飛ばした。
悲鳴と怒号の混じった声を背中に聞きつつ、武蔵は職員室を飛び出した。


どうせ明日は学校は休み。
呼び出されて怒られるにしても、それは何日も後の話だ。


胸の内をぐるぐると回る不愉快の総ては教師の態度が原因だ。
腹が立つ。
ヒル魔が悪いと、言い切った。

そりゃあ、午後の授業は始まるのが遅くなった。
教室から廊下まで、踏み散らかされた豆の残骸は掃除がとても大変だろう。

だけど、皆楽しんでいた。
騒ぎの教室に集まった皆は、ヒル魔の豆の連射を楽しんでいた。
悲鳴もあげた、正確な射撃から逃げもした、けれど嫌がっているヤツはいなかった。

ヒル魔はそういうヤツなんだ。
色々誤解を受けるけれど、人が嫌がる事はしない。


わからない、あの馬鹿教師が悪い。
うまく説明出来ない自分の頭に腹が立つ。

ヒル魔は、絶対悪く無い。




月曜、学校に行ったら怒られるんだろうかとため息をついて家のドアをあける。
共働きの両親のおかげでいつも家には鍵がかかっているというのに、今日はすんなりノブが回った。
ヒル魔が先に帰っている証拠だ。

玄関に入り、ただいま、と小さく口を開く。

そこに飛び込む小さな塊。

口の中に塩気が混じった。そっと歯を立ててみると柔らかく崩れて口の中に甘く馴染む。


まめ、だ。


きょろきょろと狭い廊下を見渡してもヒル魔の姿は分からない。
名前を呼ぼうと口を開くと、連続して固まりが飛び込んで来た。

何の豆だろう、取りあえず噛み締めて飲み込む所に狙い済まされる新しい豆。
口を閉じて、ゆっくり子供部屋へと移動した。こちらを狙っているらしい小さな気配も一緒に動く。

「ヒル魔」

打ち込まれる豆を噛み締めながら武蔵はなんとか声を出す。
二段ベットの下の段からにやにやわらってこちらを眺める、その手の中にある銃器。

「今日、学校で」

言葉を許さない豆の攻撃。ヒル魔の小さな指が粒をはじき出し、それは全てが武蔵に向った。
見事なまでの正確さ。どれほど練習したのだろうか、綺麗なアーチが指からのびる。

ベットの上で外着のままに、ヒル魔はごろりと転がった。
大人が見れば行儀悪いと怒るだろうが、得意そうにこちらを見る表情は相当に可愛い。
可愛いと思う。間違い無く、可愛い。

「すげえ、だろ!」

普段から開きぎみの口にめがけて、尚も狙い済まされる小さな粒。

「練習したんだぜー!」

どんな姿勢になりながらも、はじき出す放物線はずれもしない。
あまりに嬉しそうな、自慢そうなその顔がもっと見たくて武蔵はぽかんと口を開けた。

ほめろ、誉めろと待ち構えて言う顔に向って、武蔵は大きく笑ってみせた。
頬張りきれない程の豆。言葉をせき止める大量の豆。

さあ、誉めろと両手を広げて待ち構えている顔。
待切れなくて、次々技を見せつけるヒル魔。

ああ、この大好きな妹に。
一体何を言えば言い?


ぼりぼりと頬張る物を噛み締めながら、武蔵は頭をしきりにひねった。
さあ、考えろ、頭を使え。
自分が知ってる一番の褒め言葉。凄い、凄いとたたえる言葉。
ヒル魔が一番喜ぶ言葉。
ヒル魔が欲しいはずの言葉。




俺のヒル魔が笑う言葉。



2006年02月03日(金) AM0:13











まとめてみると思ったよりいろいろありました。
そうかあ、これ高校までお話あるのかあ………
(小学生のお話だけだと思ってました。)
先日日記であげたハロウィンがこの後ろに続くんですね。

このお話は、某方が好きだっておっしゃってくれたので
全部某ざまにまとめて捧げたいなあと思うのですが
こうしてまとめてみるとどうにも形に出来ないというか
もらったところで困るだろ、ていう形式です。

恐れ多いのでまだ直接のお礼も言えてないのです。
いつも見て下さってありがとうございます。そんなお礼を。
サイトはじめたら、いろんな方とおしゃべりしたり接触したりが
たくさんあると思っていましたが。ますます遠くなる距離もあるのだと
やってみて知りました。

もう、拍手さえ押せません。
憧れてのは人間の距離感を最も遠くすると
藍染隊長がおっしゃっていたとおりです。