ありゃま、寝ちゃった[剃刀]
[剃刀 蛭魔]
一緒に風呂に入っている時。
いつも先に入っているのは蛭魔。
支度が遅くて、後からのっそり入ってくるのが武蔵。
今日も、先に身体を洗った蛭魔が湯舟でゆったりくつろいでいると、後から身体を洗いはじめた武蔵が鏡の前でヒゲを剃りはじめる。
「てめえ!先に言ってから剃れって言ってるだろ!」
忌々しそうに蛭魔は鏡に向かう武蔵の背中に文句を飛ばす。
武蔵はとても不器用で、毎日繰り替えしている「ヒゲ剃り」でさえ「上手」とは言いがたい。
ひげそりで毎朝剃っているのにすぐに顎の下が生えて来ているのは、体質のせいもあるが
ずぼらでしっかりと剃らないせいもある。剃り残しが多いのだ。
どうせ、夕方になれば伸びてしまうモノを丁寧に時間をかけるだけ無駄だと思っているんだろう。
なのに、武蔵は風呂でヒゲを剃る時。いつも、きまって剃刀を使う。
蛭魔は同じ年頃では珍しい程に体毛が薄い。
色素が薄いから余計に目立たず、「剃刀を使ってヒゲを剃る」という必要が全く無い。
だから、いつも武蔵のその一連の作業は見ていて面白かった。
狭い洗面所の前で電気剃刀の独特の音を響かせて突っ立っている後ろ姿も。
風呂の中で、不器用なりに真面目に鏡に向かう横顔も。
切れ味の良すぎる刃物を、不器用な他人が使っているのは見ていてあまり、安心できる物ではない。
狭く、足場の濡れた風呂場で武蔵がヒゲを剃りはじめれば、決まって蛭魔は風呂から上がれなくなる。
先に一声かければ良いんだと暇をもてあましてぶつぶつと呟くのは、いつもの「ポーズ」だ。
生返事だけが返されるこの時間が、実はとても気に入っている。
武蔵の肩ごしに見える鏡は、湯気でうっすらと曇る中に中途に真剣な表情を写し出す。
試合の時とも、試験のときとも、運転している時も、仕事をしている時とも違う、少し気の抜けた頬から下と妙に力の入った眉間の皺。肌を押さえたり引っ張ったりしながらの滑稽な表情と真面目な目線。それらを肩ごしとは言え凝視していても無言であっても、武蔵は何も反応しない。
剃っている最中に会話らしい会話は生まれない。
だから、蛭魔はいつも眺めていた。
こんなに近くで、武蔵をただ見つめる事など滅多に無い。
お互いにからかいあい、お互いに意地をはる。
虚勢と嘘とはったりと、つまらない見栄やばかばかしいプライドらしき物が邪魔をするから、
盗み見るように目線を向けるのが精一杯。こうして、一つ屋根の下で暮らしていても。
なかなか、武蔵の顔を長い時間見つめる事は、ほとんど無い。
武蔵の手許はとても不器用で、けれどいつもそれを観察している蛭魔はその原因がだいたい分かる。
手の向きが悪かったり肌を引っ張る位置が近すぎたり遠すぎたり。何より、剃刀を持つ手の具合がなんだかおかしい。最初に蒸しタオルを顎にあてるだけでもかなりそり具合は違うだろう、そういった諸々のコツを。
多分、武蔵は気付いていないだろう。
だから、蛭魔は黙って眺める。
この時間が長いほど。蛭魔にとっての楽しみもまた増えるのだから。
[剃刀 武蔵]
湯舟に漬かる蛭魔にばれないようにシェービングクリームを手に取った。
文句を言われる前に手早く顎に伸ばし、急いでそこに剃刀を当てる。
「てめえ!先に言ってから剃れって言ってるだろ!」
忌々しそうにそう怒鳴り、その後もいくつかの言葉が飛んでくるが。言葉とは裏腹に蛭魔が湯舟から上がる気配は無い。曇った鏡を手で擦り、そっと後ろを伺ってみる。バスタブの縁に両腕を乗せ、その上に顎をのせたいつもの姿勢でこちらを眺めているのが分かった。
ばれないようにヒゲを剃る作業に集中しながらも、引っ張る頬の下の筋肉が自然と弛む。
いつも、こう。
だから、剃刀でヒゲを剃るのは面白い。
さっさと風呂から上がれば良いものを、蛭魔はだまって武蔵の動きが終わるまで大人しく待っている。
いつもいつも、それは普段の蛭魔からしてみれば珍しい程大人しく時間を過ごす。
声をかけるわけでもなく。
退屈そうにイライラと物音を立てるでもなく。
静かにただ、武蔵の作業を眺めて時間を過ごしているのだ。
火照って淡く染まった頬と肌で。
もともと蛭魔の風呂はとても早い。それで洗っているのかと思う程素早く手が動き、湯舟に浸かったと思えばさっさと出てしまう。湯舟につからず、シャワーを浴びるだけで済む時も多く、最近は随分長くなった方だ。
その蛭魔が。簡単にのぼせてしまうほど湯に弱い、蛭魔が。
何の文句も言わずにただ後ろから視線を向けられるのは、悪い気分じゃ無い。
普段はちらちらと盗み見るだけの視線。
目が合ったかと思えばすぐに逸らされて、逸れたなと思っていれば時間を置いてまた向けられる。
意地悪をするつもりで一度逸れた視線がまたこちらに戻るまで、ずっと蛭魔へ視線を向けてみた時には。
随分とバツが悪そうな表情を見せて、それきりその日は一度も目線が合わなかった。
以来、普段は気にしないようにしている。
色々と気がつかないふりをしている。
今の様に。
もともと白い肌がまるで情事の時のようにほんのりと染まり、ゆだっているせいだろう、時折つかれる息は
普通のため息より熱が隠っている気がする。頭を振ったり、湯を水で薄めたり、色々と工夫をこらしながら、蛭魔はながく湯舟につかる。
武蔵の剃刀が止まるまで。
湯の温度で肌が柔らかくなる。
蛭魔の頬が汗ばみ、冷えたバスタブの部分を求めて移動しはじめ。
頬をあて、顔から力を抜いてわずかな冷たさに頬を緩める。
それがどれだけ、魅力ある表情なのか。いつもはけして見せない気の抜けた顔、だらしなくゆるむ姿勢、熱と湿度にうるませながら向けられる視線。それが、どれほど武蔵を楽しませているのか。
多分、蛭魔は気付いていないだろう。
だから、武蔵は黙ってヒゲを剃る。
この時間が長いほど。武蔵にとっての楽しみもまた増えるのだから。
AM8:09
えーと。なんだ。
なんだろう。清く無いムサヒル。
だけどちょっとシャイな所があったりする二人。
日記で書き流すものは、テキストにしたいネタだけど、わざわざ
サイトにのせるもんでもなかったりするというか、
サイトにのせるんだったら一体どこに?と困るもんを書くようにしていますが。
中学生とか、「シャイ度」がちがったり「H突入時期」が違ったり
色々と設定が違う気がして、どうすっかなあと思うもんもあります。
気にしてるのは私だけで多少矛盾があっても気にせずどーんとのせても
いいのかなあ。そ知らぬ顔で。
というよりも、これは夏の話ではありませんね。はい。
そう、ひげの話しだ。かつて没にしてたネタを地球に優しくリサイクル!
さて、やまださんにとって50音は季節を感じます。
か行 夏
さ行 冬
た行 秋
ナ行 梅雨/雨
は行 春
ま行 夜
ら行 パラレル・ヨーロッパ
最後のヨーロッパってどんな季節だよ、
すみません嘘をつきました。
ただの連想ゲームです(好きだったなあの番組)
あ行とや行はどこいったかって?
やだなあ。喘ぎに決まってるじゃ無いですか。
まったくもって季節と関係ない話でしめてみる。
2005年09月16日(金) AM8:15
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