【2006/1/11企画】 06/01/25 (Wed) 23:56:36 
* * 隠密ヒル + 悪代官ムサ * *


誰もが寝静まったはずの時刻を狙って、蛭魔はそっと夜具から這い出した。
与えられている猶予はあと数日。蛭魔に課せられた任務は、必要な書面を集める事だ。
隠された物の形、場所、それが手薄になる時間、ほとんど見当はついている。

同じ年頃の丁稚が雑魚寝する大部屋から音を立てずにそっと抜け出す。
今夜は空に月が無い。機会を伺うばかりで動けなかった昨日の過ちを、今日もくり返す訳にはいかない。

人の足で磨き上げられた古く立派な渡り廊下は、蛭魔ほどの体重を載せてもみしりとも音を立てない。


一家の主人。滅多にこの屋敷に戻らないと言われるあの男が、昨日からここに戻って来ている。
目的の部屋に昨夜一晩中灯っていた明かりは恐らく、そのせいなのだろう。
中庭を隔てた離れの部屋は、人気を失いしんと静まり返ったままだ。
影から影へ、移るように移動しながら蛭魔はしょうじに手をかけた。
中に人の姿は無い。今日、男が女の元へ出かけていると裏はしっかりとってある。
母屋から距離のある事、闇夜である安心感、昨夜一晩中気を張っていたための疲れ、
色々な要因が重なった末に、周囲への注意が散漫だった。

部屋の中に忍びこみ、まわりをそっと見回した時。予想もしない場所からみしりと畳を踏み締める音が響いた。
身体全体が凍りつく。緊張で硬くなる全身に力をみなぎらせつつ、蛭魔は背後を振り向いた。


「お前、何もんだ。」

屋敷の主人が不機嫌そうな声をあげる。だらしなく着物をゆるめたたもとに片手をつっこんだまま、気をゆるめたような態度ではあるが。さりげなく回りこみ蛭魔の退路を断っている。
色々と言い訳を考えながら蛭魔はじり、とあとずさった。
男が背負う威圧感は、蛭魔を室内へと押しこむような圧迫感に満ちていた。

「夕べ、お前、庭掃除してたやつだな……?」

顔を、覚えられている。
逃げのための口上がますます口に出し辛くなり蛭魔は軽く唇を嚼んだ。

「随分、俺の事聞いて回ったそうじゃねえか」

目の前にしゃがみ、うつむいた顎に手をかけられる。
むりやり顔を覗き込まれて蛭魔は進退を脳裏で探った。
二人が入ったしょうじの他に、出入り出来る場所はない。
通路への道を巧みに遮る男の態度、顎をつかむ容赦の無さは、手慣れた物を感じさせた。

「へえ、汚れてなけりゃあ見られる顔、してんじゃねえか」

人目を引くような顔だちは、任務に害しか及ぼさない。
できる限りは薄汚れた身なりを心掛けてはいたつもりだった。
睨み付けたくなる目を伏せ、怯えて弱った仕種を見せる。
上手くごまかさなければ任務所の話ではない。

「てめえ、ひょっとして……」

嫌な間をもたせて、男がにやりと笑いを浮かべた。
強ばる身体をなだめながら、わからないふりをして蛭魔は沈黙を守った。

「夜這いに、来たか?」

すい、と男が身体をずらした。障子ごしに薄く入る弱い光から逃げるように、顔が影に隠れてしまった。

「丁度、約束が無くなったんでな。相手をするなら、目を瞑ってやってもかまわんぞ?」

逆光の闇に沈んだ顔と声から、感情を判断することは難しい。
声にふざけた物は感じられない。この男の密やかな噂の一つに色好きがある事を思い出した蛭魔は賭に出た。

「…………そう、です……」

色じかけならば、こちらに分がある。
蛭魔はうつむく下で小さく笑った。
覚えこまされた性の技で、眠りにひきずりこめばいい。
何もわからず怯えて怖がるただの素人のふりをしながら。蛭魔は伸びてきた腕へ大人しく身体を預けるのだった。





次第に大きさを増す口の中の物へ蛭魔は丹念に舌を這わせた。
表から裏まで。先端から根元まで。とにかく終わらせるために教え込まれた手管を使い、執拗に攻めているのに返って来る反応がにぶい。
男が浅く吐く息、舌でつつけば揺れる雄の先端、悪い反応では無いものの、思った以上に難物な代物だった。

女の物と比べても遜色がないと仲間内で評された舌技を駆使するが、口の中でそれは一向に果てる様子ない。
やめろ、と言われるまで吸い上げて、何度も果てさせるつもりでいたのに。
顎が痛い。中途な姿勢の身体が辛い。立ったままの男の腰に、顔をうずめながら蛭魔は何度も視線を上げた。
見下ろしているはずの表情は影に沈んで詳細を隠す。

「それだけか?」

降って来る声は低く冷たい。

「それだけで、俺を満足させるつもりなのか?」

男が行灯を指指した。取ってこい、と指だけで示し、ヒル魔はそれを引き寄せた。
顎で示される事の意味。燭台の下の引き出しにある、油壷。
菜種の匂いが強いそれを使えと男は指し示す。
無理だと言えばどうなるだろう。のろのろとそれに手を伸ばしてヒル魔は考える。
口に含むさえ困難な程の、その大きさを。この身体で受け止めろと?
そこまでの訓練を、ヒル魔は未だに受けていない。

ためらいながら壷の中に指を入れるが。
これだけで身体を慣らす事ができるのだろうか。

「どうした?」

着物の間から覗く男の物は、ヒル魔が口を離した跡も萎える事なく勃ちあがったまま。
小さく浅く息を吐き、自分の下肢を覆う布をのろのろ剥がす。
左の手のひらに油を落とし、右の指をそれにからめる。
垂れる程に濡らしたそれを、足の奥へとゆっくり伸ばした。
異物を飲み込む事に慣れていない、小さな入り口で指がおびえる。
おそるおそる押し込みかけて、爪が埋まるところで止まった。

「で……きま、せ……」

目の前の影がふいにしゃがんで同じ高さにまで顔が降りた。

「最初だけは」

油に滑る両手を取られた。立て膝のままの身体を揺すられ、重心が崩れ、足が開く。
手のひらに油をためた左手は男の物へと導かれる。

「手伝ってやる」

手の甲から強引に握り込められ、ぬるつく手のひらで動かすように促された。
油の動きが滑らかに誘い、男が満足そうに息を漏らす。

男の片手がヒル魔の指から油をすくい、後ろのすぼまりを無骨に探る。
本能的に身体が逃げて、それにも構わず指が潜る。
異物を飲み込む経験などをほとんど持たないヒル魔のそこは、指の侵入を必死で拒む。
ぐいぐいと押し込まれれば、それだけで身体に力が入る。
意図するわけではない筋肉の抵抗に、男はヒル魔の前を探った。

萎えた、というより勃ちあがるそぶりもみせない部分を掴み、ゆるやかに刺激を加える。
指の動きはヒル魔を惑わす。ただ1本の指の動きが、ヒル魔の意識をぐずぐず崩した。
あっというまに敏感な箇所を探りだされ、内から指で押さえられるとのけぞるほどの電気が走った。

「ひっ……んっ………」

指先を曲げ、小刻みに動く。
連動するように先端をつつかれ、のぼりつめて、精を吐き出す。
耐えるための余裕さえ無く、高まったままヒル魔は喘ぐ。

呆気無い程身体が踊り、開放感に脱力するが。
男の両手は動きを止めない。

「あっ…やだっ……」

倒れるな、と命じられてのけぞりながら男の肩に額をのせた。
両手はとっくに男から離れ、汚れた指で着物にすがった。
2度。3度。
男の指は動きを止めない。

腰の奥が異様に熱い。
膝が笑い、崩れ落ちそうな程に揺れて、思わず助けを求めかけると。
耳もとにかかる熱い息。

「夜ばいをかけたくなる程に、お前は俺を慕っているのか?」

頷きだけでは許されない。数度くり返される問いかけにヒル魔は言葉で返事を返した。

「し……たって……、ぉります……」

「願いが叶って嬉しいか?」

「うっ……れ……、ひっ……!!」

男の手に、再び飛び散る熱いもの。

「ゆ……るし、てっ−−−−−!」

「本望だろう?」

否定の為に頭を振るが、男は気にした風もない。
胸元にしがみつき、溢れる吐息に着物を濡らすヒル魔の口が悲鳴をあげる。

「むっ……り、ですッ……!!」

腰が砕けて身体が崩れた。
何度目なのか、腰を突き出し吐き出しながら、ヒル魔はばたりと畳に倒れた。
見下ろす男は鼻で笑う。



子供に刺激されたまま、そのまま放っておかれた場所を男は自身で軽く擦った。
押し殺した喘ぎが漏れて、わずかな間の後気を放つ。
足下に崩れた子供の顔にめがけて、放った物が散り落ちる。

手に残る白い残滓を子供の着物の裾で拭き、男は身なりを整えた。
立ち上がれば、闇夜とはいえわずかな明かりが障子ごしに漏れてくる。

子供を見下ろす男の表情は、しばらく厳しいままだったが。
ふいに口元が和らぎ笑った。

足下に横たわる、子供の姿。
乱れた裾からのびる両足。未成熟な身体を持つ者特有の、若い色気がただよう肌。
後ろの刺激に乱れた身体。あれ程翻弄されていながら、耳に入る言葉に従う小賢しさ。

子供が単なる丁稚であるとは男はもちろん信じていない。
当然このまま帰す気も無い。深夜の徘徊にどんな裏が隠れているのか。
問いつめなくてはならないだろう。

男を受け止める事も知らない体で、すがりついてきた子供。

問いつめるにしろ、飼いならすにしろ。
面白い者が手に入ったと男は思う。

屋敷に滞在するしばらくの間。閑を潰すにはもってこいなのかもしれない。
毛色の変わった玩具の一つ。
何かを知っているようで、何も知らない無垢な子供。


思うだけで笑みが溢れた。

さあ、この子供から何を聞こう。
見返りに、何を教えてやればいいか。



まずは名前。お前が一生忘れられなくなるほど、俺の名前を叫ばせたい。

















稲葉さんの終了させた後のお題に穴と雑談してた時に出来たネタをのせてみました。
全く関係ないお話が1画面の中に2つあった上に両方とも続いてません。

元ネタはなんだっけ‥‥。「夜這いに来たのか?」て台詞だけから組み立てたので多分某冴羽もっこりさんとこからだと思います。